「ナマコ」と聞いて、皆さんはどんな印象を抱くでしょうか?「気持ち悪い」「不気味」「グロい」……などなど、何となくネガティブなイメージが優先してはいませんか? 見た目は確かにそうかもしれませんが、彼らの潜在的能力には驚くべき事実があったのです。
実はナマコには高い保湿機能があることがあることがわかりました。一体どこにそのようなヒントがあったのか。それは、ナマコの販売加工の仕事に関わる女性の手でした。冬場の過酷な手作業が多い仕事であるにも関わらず全く手が荒れていないのです。「これは何かある! もしかしたらナマコに何かしらの秘密が隠されているのでは?」そう着目し、研究を開始しました。
ナマコ(海鼠, 英: sea cucumber, sea slug)は、棘皮動物門ナマコ綱に属する海生の動物の総称です。漢字で海の鼠(ネズミ)と記すのは、昔の人はネズミに似ている……と思ったのかもしれませんね。ナマコは各地の海に広く分布していて、世界では約1500種類、日本だけでも200種類ぐらいが存在していると言われています。その中でも、日本で主に食べられているナマコは「マナマコ」という種類で約30種。一般的には体の色で、アカナマコやアオナマコ、クロナマコと3つのタイプに分かれます。
日本や中国では古来よりナマコとの関わりは深く、日本では平安時代以前から食されており、世界最古の書物といわれる古事記にも「海鼠」という名前で登場しています。江戸時代には食材図鑑である『本朝食鑑』にも記載されており、日本人には古くから馴染みがある食材でした。また、ナマコは食材以外にも漢方薬や薬膳料理としても利用されており、中国では慢性肝炎の治療薬としても広く利用されているそうです。その他に、補腎強壮効果もあると言われ、動脈硬化を予防する作用、性機能低下の回復作用、便秘の改善や利尿効果もあります。日本でも薬効は認められており、風邪・解熱・胃薬・利尿・強精・凍傷・腫れ止めなどの効果を期待した民間療法が各地に伝わっています。近年では抗ガン作用や生活習慣病への作用が研究されている他、ナマコサポニンは防カビ効果が認められており、水虫のための医薬品としてもすでに実用化されています。
日本ではパッとしないナマコですが、中国では「黒いダイヤ」と称されており、中華料理の高級食材として大変珍重されています。中国の経済成長に伴い需要が急増し、ここ10年ぐらいの間にナマコ人気が急速に拡大しました。日本産の乾燥ナマコは、品質の良さから最高級のトップブランドとしての地位を保ち続けています。
国内では商品価値は高くなかったクロナマコも、先のような背景からここ数年で需要が高まってきており、重要な有用資源として扱われるようになってきました。しかし、出荷規格に該当しないナマコはそのまま廃棄処分されており、その廃棄コストも無視できないほどだったことから、何とかこれを有効活用できないかと着目したのがクロナマコエキスの開発の始まりだったのです。
ナマコの生息地として我々がたどり着いたのが青森県陸奥湾です。ところで、青森県の特産物と言われて思い浮かぶものは何ですか? 青森といえばやはりリンゴでしょうか。確かに生産量は日本一、国内のリンゴの約半数が青森県産です。意外と知られていないかもしれませんが、国産ニンニクの生産量も日本一、国産カシスの生産量も日本一なのです。そんな実り多い青森県ですが、実は水産資源にも恵まれており、ナマコの産地としても実は有名。その漁獲量は全国第2位を誇っています。青森県がナマコの産地として優れている要因が2つあります。
■地形的条件
内湾性砂泥地 クロナマコは内湾の砂泥底を好んで生息する。青森県の陸奥湾は閉鎖度が高く八甲田山系や恐山山地から流れ込んだ栄養が溜まりやすく、クロナマコが育成するのに適した土壌条件である。
■環境的条件
低水温 ナマコは海水温が高くなると運動や摂餌活動を停止し夏眠(生物が夏季の暑さや乾燥を避けて休眠して過ごすこと)するが、その状態下ではナマコの体重が減少する。ゆえに、水温の低い北の地域では夏眠時間が短くなることから、北方で育つナマコは身がしっかりした品質の良いものに成長する。
このように、青森県の置かれる自然環境がナマコの育成環境としても非常に良好であり、ゆえに最高級ランクと評されるほどの品質に育ち上がるのです。
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