白桐の炭[素材ストーリー編]

炭に隠された秘められた力。炭と言ってもその種類は、石炭、木炭、竹炭と様々です。その中でも「桐炭」には化粧品として優れた効能があることを我々は突き止めました。そして、日本人が古くから愛してきた桐炭から化粧品の原料化に成功。

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白桐の炭[素材ストーリー編]

桐と日本人

桐の原産地は中国とされており、日本には飛鳥時代の頃に渡来し、北は北海道、南は鹿児島まで広い範囲に生育しています。桐は幸福を運ぶ鳥「鳳凰」がとまる木、縁起の良い木、幸福をもたらす木として神聖視されてきました。日本の歴史においては、朝廷の紋章にも使われるほど皇室とも縁が深く、高貴な樹木として尊重されてきました。また、白桐をもとに意匠化された家紋(桐紋や桐花紋という)がいくつかあり、中世以降は武家が望んだ家紋としても有名で、足利尊氏や豊臣秀吉などもこれを天皇から賜っています。このため五七桐は「政権担当者の紋章」という認識が定着しました。現在でも日本国政府の紋章として用いられているほか、菊花紋に準じる国章としてビザやパスポート、そして500円玉硬貨の表面にも桐の花と葉がデザインされ、国章に準じた扱いを受けています。

桐の伝承

桐は成木になるまでに20~30年と早いことが特徴です。かつての日本には、女の子が生まれると桐の苗を植え、お嫁さんになる頃に成長したその桐で箪笥を造り、嫁ぐ娘の幸せを願い嫁入り道具としてあつらえる風習があったことから、桐箪笥が嫁入り道具の代表格となりました。箪笥は江戸時代初期から普及し始めたといわれます。木造住宅が多かった当時、「火事と喧嘩は江戸の花」と言われるほど、火災が多い都市でした。このような中、桐箪笥は火災から人々の大切なものを守ったと言われています。桐は熱伝導率が極めて低く発火点が425℃と高いことがその理由です。表面が焦げても火が回りこむのに時間がかかり中までは燃えにくく、断熱効果が高いのです。「桐箪笥は黒焦げだけど中の着物は無事だった」なんてエピソードも残っているほどです。

桐産地

桐の種類は日本桐、中国桐、台湾ウスバ桐など様々ですが、木質や木目の美しさから、日本桐が最高品質だと言われています。その中でも気候、水、土壌等の要素から、東北地方や新潟のような米どころの桐が最上級の評価を与えられています。産地としては秋田県、岩手県、新潟県、福島県などが有名です。 今回、化粧品原料開発に成功した桐炭は秋田県の桐を用いています。江戸時代初期、日光東照宮を作るために日光街道の宿場町である春日部に宮大工集まったことが、埼玉で桐工芸文化が栄えたきっかけと言われています。埼玉県本庄市に店を構える関根桐材店は、1900(明治33)年創業の老舗で、桐製品の製造・販売を手掛けています。製造の過程では多くの廃材が生じています。4代目代表の関根紀明氏は、この毎月約3トン出る桐の廃材を何とか有効活用できないかを模索していました。その可能性を探っていた矢先、化粧品としての転用を思いついたそうです。

桐炭の効能

我々の研究結果から、桐が持つ様々な特性は化粧品原料としても有効であることが確認できました。皮脂や角質汚れ、においの分子を吸着する性質が期待されることから、石鹸やシャンプーなどの洗浄系製品への利用が望めます。

桐炭を乳鉢で潰してみるとパウダー状になり、きめがとても細かい煙のような微粒子の粉末になります。この粒子は細かいだけでなく均一であり、一般的に桐炭は、カリウム、マグネシウム、カルシウム等ミネラルを多く含むといわれています。他の樹種と比べ内部表面積が非常に大きく多孔質であることから、皮脂や角質等の汚れの吸着効果や、消臭効果としても期待できます。廃材として処分されるばかりの桐の端材は、桐炭にすることによって、驚くべき潜在的なパワーを発揮します。

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