和栗渋皮エキス[素材ストーリー編]

秋の味覚を代表する栗。定番の栗ご飯から、栗きんとん・栗まんじゅう・どら焼きといった和菓子や、プリン・モンブラン・マロングラッセといった洋菓子まで、栗の魅力を存分に活かした食のレシピが数多く存在しています。そんな食として有名な栗ですが、実は化粧品としても優れた効能があることをご存知でしたか?

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和栗渋皮エキス[素材ストーリー編]

栗の種類とその特徴

栗(日本栗・学名Castanea crenata)はブナ科クリ属の総称のことです。原産地は日本、朝鮮半島ですが、中国大陸でも栽培されており、日本で天津甘栗として食される品種は、俗に中国栗(支那栗)と呼ばれる輸入種です。この中国大陸産の栗は一般には天津港が伝統的な海外出荷拠点であったことから、天津栗または天津甘栗と呼ばれるようになったそそうです。これはちょっとした豆知識。

栗と日本人

歴史を遡ること縄文時代。栗は当時を生きた我々祖先の主食でした。青森県三内丸山遺跡から縄文時代にはすでに栗が栽培されていたことがわかっています。戦国期から近世にはカチグリ(搗栗)と呼ばれる食糧が登場。“搗(か)ち”が“勝ち”に通じることから、日本では昔から出陣や勝利の祝い、正月の祝儀などの縁起物として重宝されていたようです。また、栗の木においては、硬くて耐久性に優れていることから建物の柱や土台、鉄道線路の枕木、家具等の指物等に使われていました。このように、栗は古来より日本人の生活文化に馴染みの深い植物だったのです。

化粧品としての効能

栗は二重の皮に包まれています。栗の実と外皮の間に存在する渋皮と呼ばれる薄皮と、その外側を包む固い鬼皮(殻)の部分です。この渋皮にこそ化粧品にとっての有効成分が含まれています。通常、実の部分は食用となるのですが、渋皮部分は渋味の強さから有効活用されることなく破棄処分されるという現状がありました。ところが、この“渋”には、脳梗塞や動脈硬化の予防、抗酸化作用成分である「ポリフェノール」などが多く含まれていることがわかりました。「これを捨ててしまうなんてもったいない。この素材部分を何とか有効活用できないだろうか?」化粧品原料としての開発の始まりでした。

『ぽろたん』との出会い

栗渋皮に化粧品としての有効成分を見つけたわけですが、「品種によってその成分量は同じなのだろうか?」 この疑問は原料開発という道中において常にぶつかる問題です。そんな中、偶然にも埼玉県の方から「栗の皮が大量に捨てられて困っている、なんとか再利用する道はないか」というご相談がありました。その時出会ったのが埼玉県日高地方で栽培されている『ぽろたん』という品種。この地方で生産されている『ぽろたん』は「日高ぽロン(“ぽ”はひらがな)」というブランド名で展開され、市の名産にもなっています。

埼玉県は栗の収穫量が全国第6位(平成23年度・農林水産省)。日高市の高麗川(こまがわ)、高麗郷(こまきょう)からなるこの地区は、もともと養蚕業が盛んでしたが、繭の価格低迷に伴い、昭和30年代から栗栽培への転換が進んでいきました。それ以来、「高麗川マロン」というブランド栗を長年栽培してきた日高市ですが、2007年に新種が加わりました。それが『ぽろたん』です。日高の気候風土にあった栗作りは、この地区にしっかりと根付き、今では埼玉県では有数の栗産地にまで発展しました。

新種誕生の背景

『ぽろたん』は、2007年に独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構(略称:農研機構)が開発したまだ歴史の浅い品種です。先にも記したように、日本栗は渋皮が剥がれにくいという性質がありましたが、『ぽろたん』はこの欠点を見事に解消。日本栗と中国栗のいいところを掛け合わせて生まれた進化形ハイブリッド種と言えます。渋皮が簡単に剝ける画期的な品種として人気が高まっています。ちなみに、この『ぽろたん』というかわいらしい名前の由来は、渋皮がポロンと剝けることと、広く愛されて欲しいとの願いを込めて命名されたそうです。

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